一酸化二水素、沸点、磁極 ――物理と化学の迷信

磁極が一つしかない星がある?

 1931年、理論物理学者ポール・ディラックが、磁極が一つしかない孤立した磁石(S極のないN極のみの磁石、またはその逆)が存在する可能性を初めて指摘した。その後、物理学者たちは、そうしたいわゆる「モノポール」が自然発生した実例がないか調査した。

モノポールは見つかっていない。(イラスト:サンサン)
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 1982年、カリフォルニア州スタンフォード大学の研究者は、研究室で単独実験中にモノポールを検出したと発表した。だが、誰もその発見を再現できなかった。月の岩石や古代の鉱物など、自然界に存在する物質についてのすべての実験からは、そのようなものはまだ見つかっていない。

 棒磁石を半分に分割すると、論理的にはそれぞれ一つずつの極を持つように思える。しかし実際には、分割した棒磁石はそれぞれN極とS極を持っている。棒磁石を一つの原子になるまで細かく分割しても、その原子にもN極とS極がある。

 同じことが地球規模でもいえる。地球の磁場がどこに起因するのか正確にはわかっていないが、地球の中心にある回転する液体コアから発生していると考えてほぼ間違いない。この磁場は太陽から届く有害な放射線から私たちを守っている。ナビゲーションにも役立つ。どの方向にコンパスを向けても、小さな磁針がそれぞれの極に向かって回転する。

 これら南北の極は静止しているわけではない。地球の外核にある溶融金属が旋回するのに伴い、年々動いている。そして、数十万年に一度くらいのペースで地球の磁場は反転し、北と南が入れ替わる。しかし、地球が近いうちに磁極を失うような事態にはならないことだけは、断言できるだろう。

※書籍『科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相』を再構成

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