夢遊病者を起こしてはいけない?

 夢遊病者を起こしてはいけない、とよくいわれる。彼らの行動を邪魔すれば、その人にダメージを与え、最悪の場合死なせてしまうこともあるという。しかし、それに対して科学ははっきりと明快な回答をしている。「ナンセンスだ」と。

夢遊病者の多くは夜の早いうち、脳がノンレム睡眠の深い段階に入ったときに行動を起こす。(写真:Taka)
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 睡眠専門家のマーク・R・プレスマンも「夢遊病者を起こしても危険はない」と言い切る。夢遊病者の多くは夜の早いうち、脳がノンレム睡眠の深い段階に入ったときに行動を起こす。持続時間はまちまちで、数秒だったり30分以上続いたりする。その間、脳は眠っている部分と覚醒している部分が混在している。覚醒している部分で体を動かし、様々な行動を起こす。時に車を運転することもあるというから驚きだ。

 視覚認識をつかさどる部分は睡眠状態にあるため、夢遊病者は自分を起こそうとしている人を見ても誰だかわからないことがある。眠りながら車を運転したり料理をしたりしようとしているときは、その危険性を考えて目を覚まさせるべきだと、専門家はいう。

 しかし、目を覚まさせるのは簡単ではないだろう。一部とはいえ、脳は深く眠ったままだからだ。身体に影響がなくても、深い眠りから無理に目覚めさせようとすると、夢遊病者が混乱したり不安を抱く場合がある。そこで危険にさらされるのは、目覚めさせようとしている側の人間だ。触られたりつかまれたりした夢遊病者が身を守ろうとして、パンチやキックなどで応戦してくることもある。プレスマンによれば、ベッドへ戻るように導いてやるのがよいという。

※書籍『科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相』を再構成

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