重力、雷、自転 ――地球の迷信

水洗トイレの渦巻きは台風と同じ向き?

 北極点の上に立って、自転する地球を見下ろしてみると、地球が反時計回りをしているように見えるはずだ。逆に、南極点まで行って同じことをしたら、時計回りに見えるだろう。台風やハリケーンなど地上で起こる渦巻きは、この回転が生み出す力に影響される。いわゆるコリオリ効果だ。

渦巻きの向きを左右する要因はいろいろある。(写真:日本一)
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 水洗トイレの便器に溜まった水も、コリオリ効果で考えれば、台風と同じく地球の自転と同じ方向に巻き込まれて渦を作るように思われる。ところが現実には、トイレを流したときの水流の向きは、必ずしもそうならない。

 水洗トイレの渦巻きは、偶発的な要素に左右される。そう唱えるのは、オレゴン州立大学で海洋大気科学を専門に研究するフレッド・W・デッカー教授だ。同氏によれば、何よりも大きな決め手は排水口の形だ。その前にトイレを流したときの水の揺れが収まっていなかったら、それもまた渦の向きに影響を与えるという。

 コリオリ効果は確かに台風の渦の向きを決め、その向きは北半球と南半球とでは正反対になる。だがこれは、作用する範囲が十分に大きいからである。それに対して、キッチンの流し台やトイレの排水口の直径では、あまりにも小さすぎるのだ。

 ただし、トイレのサイズがサッカー場ほどの大きさだったら話は別だ。そんなトイレがあったらの話だが。

※書籍『科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相』を再構成

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