重力、雷、自転 ――地球の迷信

雷は同じ場所に2度落ちない?

 このフレーズはそもそも、災難に遭ったばかりの人を慰めるときにいうことわざだ。こんな最悪な目に遭ったら、もうそれ以上ひどいことは起きない、と安心させるために使われていた。それがいつのまにか、いかにも科学に裏打ちされた真理であるかのように独り歩きしたのである。

 気象学者や、嵐、竜巻を観測する人は、雷は実際、同じ場所に二度三度落ちることを知っているし、それ以上落ちることもざらにある、と言い切る。雷の標的となりやすいのが、超高層ビルやテレビ塔、そして、避雷針のついた建物である。例えばニューヨークのエンパイア・ステート・ビルには、年に軽く100回は落雷する。

雷は2度同じ場所に落ちることもある。(写真:あじゃいる)
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 2014年には、嵐や竜巻を観測するドン・ロビンソンが、1回の嵐の間にシカゴのウィリス・タワー(アメリカで2番目に高い超高層ビル。旧シアーズ・タワー)に雷が10回も落ちる様子を写真に収めた。また彼は数年かけて、バーモント州セントオールバンズのとあるテレビ塔に雷が約50回落ちるのを記録している。

 雷が同じ場所に二度三度(またはそれ以上)落ちやすい件はさておき、一つの稲光がたまに、2カ所以上に落ちることがある。1990年代には、NASA(米航空宇宙局)の科学者がこの現象に関して文書に記録している。このグループは、雲間から地面に落ちる稲光約400本をビデオテープに収めた。そのとき地面を直撃した稲光の35パーセントが2カ所以上の場所に落ち、その間隔がわずか数メートル、ということもあった。

 稲光が雲の端から出た瞬間、複数の経路を通って地面に達するときもある。つまり、枝分かれしたのだ。この結果を受けたNASAの科学者は、落雷地点の数から察するに、落雷に当たる確率は実際に見える稲光の数よりも多い、という結論に至った。

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