第8回 低炭水化物ダイエットと日本食のウソ?ホント?

「やはりこれもサプリメントの話と似ていて、糖尿病患者は炭水化物の摂取について気をつけなくてはならないということを、健康な人にも外挿して考えている部分があります。実際は、健常者にとっていいかどうかははっきりとは言えません。私のメタアナリシスの解析でも糖尿病患者さんの研究で効果がみえても、糖尿病を患っていない人たちの研究では効果が怪しくなった結果が得られたので。これは、メインの結果として扱っていないのでちゃんと読まなければ分からないのですけど。健常者の研究って難しいんですよね。臨床研究はどうしても患者さんをターゲットにしがちです。彼らは病院に来る理由があるわけですから」

脂質悪者論から、お米やパンなどの炭水化物ヘイトへのうつりかわりが、平成の健康情報の一大イベントだったのではないだろうか。

 こういった「外挿」、つまりエビデンスが乏しい範囲への拡大解釈は、前にも触れたようなメカニズムを語るストーリーに補強されると、もっともらしさが増す。低炭水化物ダイエットについては、定番の説明がある。

 いわく──

 砂糖や炭水化物をとらなくても、肝臓の中で脂肪やアミノ酸から糖を作る糖新生というメカニズムが働く。さらにケトン体回路というものが回り始めて脂質からエネルギーを生産できるから、炭水化物はいらない。

 などなど。

 これらのメカニズムが本当にうまく働くものだったとしても、だからといって本当に健康によいかどうかやはり質の高いエビデンスがないと分からない。また、炭水化物を絶った食生活を続けるとどうなるのかも、今のところはっきりしたエビデンスはない。

 とすると、目下のところで言えることというのはあるのだろうか。