第6回 こんなサプリメントにご用心

「食物繊維やカロリーの摂取量は別に考えるものとして、不飽和脂肪酸、あるいは液体の脂肪は比較的よくて、飽和脂肪酸、固体の脂肪はよくもなく悪くもない。そして、私たちの身体の燃料となる炭水化物はそんなによくないといったところです。糖尿病関係以外の話ももちろん網羅しなくてはなりませんが、個人的には炭水化物も飽和脂肪酸についても毛嫌いすることなく、ほどほどならと考えています」

 というわけで、不飽和脂肪酸はかなりよさげである。少なくとも糖尿病の予防効果があるのではないか。しかし、食品の中、食事パターンの中で摂取するのと、サプリメントとして単独で摂取するのでは違う。不飽和脂肪酸のうちにオメガ3脂肪酸も含まれるわけだが、はたしてサプリメントを飲めば効果は期待できるのだろうか。

「私のメタアナリシスで検討している不飽和脂肪酸というのは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸というものを足し合わせたものです。そのうち、オメガ6脂肪酸の摂取の方が高くて90パーセントにもなるので、オメガ3脂肪酸に関する知見を推察するには至りません。それに、糖尿病の患者に食事を与えた研究ですので、いずれにしてもサプリメントの効果はわからないんですよ」

 つまり、オメガ3脂肪酸のサプリの効用を知りたければ、まさに「オメガ3脂肪酸のサプリ」そのものを対象とした研究を見ることが必要だ。当たり前といえば、当たり前なのだが、ぼくを含めて、世の人はすぐに「不飽和脂肪酸がよいなら、そのうちの一つであるオメガ3脂肪酸だけを補ったら健康によいのでは」と飛躍してしまいがちだ。

「オメガ3脂肪酸をサプリとしての効果を見た研究もありますが、糖尿病に関しては良好な結果は得られていませんね。日本の研究で、心疾患か脳卒中の既往歴のある人で二次予防効果が見られましたが、やはり健康な人が飲んで効果があるかは分からないので、この時点で推奨するのはちょっと無理があります」

 とのことだ。

 結局、サプリメントで安心して服用できるのは、長い歴史があるビタミンやカルシウム製剤くらいだというとても保守的な結論にならざるをえない。

「いえ、実は、それさえも言えなくて……」と今村さん。

「カルシウムやビタミンDは、『骨を強くするのに必要なもの』と言われますし、実際に生化学的な知見は確立されています。でも一般的な成人がサプリメントで摂取したとしても、ベネフィットは限られていると考えてよいでしょう。その一方で、眉唾ものかもしれませんが循環器系疾患や腎臓への副作用の疑いも指摘されています。鉄剤のように貧血に対する効果が示されているものでも他の疾患のリスクを上げる可能性があると指摘されていますし、発展途上国では夜盲症を予防するビタミンAでも、飲みすぎるとビタミンA過剰症で肝臓を傷めたりします。こういったことまで含めて考えないといけないんですが、一般の人にそこまで求めるのは酷ですよね」