果てしないイルミネーション ──カナダのクリスマス

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キャピラノ川に架かる140メートルのつり橋は、青白い電飾をまとい、神秘的な姿に生まれ変わる。眼下の渓谷にもライトを当て、水の流れを見せている。右は、ラルミエール氏が飾り付けを行ったダグラスファーのイルミネーション。

 カーフェリーに乗ってバンクーバーへ移動した。まず向かった先はキャピラノ渓谷だ。ここのクリスマス・イルミネーションは有名で、この時期、日本や中国からも多くの観光客が訪れる。

 到着したのは夕方4時過ぎ。青白いLEDで装飾されたつり橋を渡り、ダグラスファー(米松)の森に入ってみる。巨木が、幹に黄色い縦線を描く電飾をまとっていた。

 面白いことに、光輝く巨木は3~4本しかなかった。すべての樹木をキラキラさせてしまうと、森がテーマパークのようになり、途端に俗っぽくなるからだろう。太古から受け継がれた天然林の雰囲気を大切にしているのだ。

 スタッフによると、このイルミネーションは、公園で30年以上勤務する木登り名人マーク・リュック・ラルミエール氏(62才)が飾り付けを担当しているとのこと。森や植物を知り尽くした彼がいるからこそ、聖なる美しい世界が形になっていくのだろう。

 キャピラノ渓谷にも、立派なトーテムポールがあることは意外と知られていない。開園当初、2人の芸術家が制作したトーテムポールが建っていた。しかしそれらは、この地と関わりのある先住民スコーミッシュ族やトリンギッド族とはまったく関係のないものだった。トーテムポールは部族の紋章と考えられている。本物を求める声が上がり、新たに先住民たちによって生み出されたのが、現在敷地内にそびえ立つ14体のトーテムポールだ。

 トーテムポールの周りの木々は、温かみのある色のイルミネーションに彩られていた。先住民の文化と西洋の文化が融合する何とも不思議な空間だ。

 じっくりトーテムポールを眺めていたら、先ほど森の中で出会ったダグラスファーのイルミネーションが脳裏に蘇ってきた。スギの根元から幹の上の方に向かって伸びる、まるでローソクの炎のような電飾で、ラルミエール氏は何かを伝えようとしているのかもしれない……。

 天然の杉の巨木を意識すればするほど、目の前にあるトーテムポールが特別な存在に思えてくるのだった。