いつかは行きたい最果ての地 ――ニューファンドランド

トウィリンゲート村の近海には、毎年500個を超える氷山が流れ着く。地球温暖化の影響か、年々その数が増しているという。氷山&クジラウオッチングのツアーボートに乗って、入江に浮かぶ氷山のすぐ近くまで行ける。
トウィリンゲート村の近海には、毎年500個を超える氷山が流れ着く。地球温暖化の影響か、年々その数が増しているという。氷山&クジラウオッチングのツアーボートに乗って、入江に浮かぶ氷山のすぐ近くまで行ける。
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 ニューファンドランドには、写真家の心を虜にする魅力的な被写体があふれている。その一つがアイスバーグ(氷山)だ。

 毎年、春から夏にかけて、島周辺の海にはいくつもの巨大な氷山が流れ着く。グリーンランドから分離した巨大な氷山が、ラブラドール海流に乗ってこの地まで南下してくるのだ。

 1912年4月、世界を震撼させた海難事故、豪華客船タイタニック号の沈没事故があった。英国サウサンプトンから米国ニューヨーク行きの処女航海の4日目に、タイタニック号は島の南東の沖合で巨大な氷山と衝突して沈没、1513人の命が奪われた。

 内陸部に深く切れ込む入江を持つトウィリンゲート村は、氷山を陸地から観測できる場所として知られている。340号線の坂道を越えると、前方にトウィリンゲート村が現れる。海に浮かぶ巨大な氷の塊を目にしたとき、思わず「すごい!」と声を上げてしまった。

 入江の畔まで行くと、氷山はさらに存在感を増す。手前には夏の濃い緑が輝く草原、その背後にある群青の海に真っ白なアイスバーグが浮かんでいる。夏と冬が同居する奇妙な世界。まるでだまし絵のようだ。

 面白かったのは、この村で暮らす人々は、入江に浮かぶ氷山など全く意識することなく、庭で芝刈りをしたり、洗濯物を干したりしていること。氷山にカメラを向けていたら、一人の村人が声をかけてきた。名前はメルビル、地元の漁師だという。彼は、自分が建てた赤い小屋の写真が撮られていると勘違いしたらしい。被写体が氷山だと知って少しがっかりしていた。

「自分たちはアイスバーグなんか気にも留めない。でも時々、氷山に乗ってシロクマがやって来る。ヤツがこの村に上陸すると、村中大騒ぎだ」

 村人と野生動物が織りなすほのぼのとしたストーリーに引かれながら、トウィリンゲート村で絵画のような作品をたくさん生み出すことができた。