太古の森に包まれる ──オンタリオ

スー・セント・マリーからアガワ渓谷までノンストップで結ぶアガワ・キャニオン・ツアートレインは、6月上旬から10月上旬まで毎日運行されている。深い森を切り開き、険しい谷間を走り抜ける線路の完成には15年の歳月を要した。
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 五大湖の一つ、スペリオル湖岸に位置するスー・セント・マリーから、470キロ北にあるハーストまでを結ぶアルゴマ・セントラル鉄道。かつて鉱物産地から物資や労働者の輸送で活躍していたこの鉄道は、今は180キロ地点にあるアガワ渓谷まで行く観光列車として使われている。特にサトウカエデの木々が色づく秋のツアーが人気だが、深緑が輝く夏もお勧めだというので、早速乗ってみることにした。

 ダウンタウンの駅で待機していると、重量感ある機関車がホームに滑り込んできた。平日であるにもかかわらず100人を超える乗客。誰もがこの鉄道を目的に訪れた観光客だ。

アガワ渓谷へは鉄道でしか訪れることができないため、太古から続く手つかずの自然が残されている。停車時間は2時間程。乗客はハイキングや動物ウオッチングなどを楽しみながら、思い思いの時を過ごす。渓谷を一望できる見晴台が特に人気だ。
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 定刻通り8時ちょうどに出発。15分ほどで扇状地を抜け、広葉樹や針葉樹が生い茂る森の中に入って行った。時速は90キロ程。時おり湖が姿を現すので、車窓を眺めていて飽きることはない。紅葉の頃はさぞかし美しいだろうと思いながら、北辺の大地に広がる豊かな森の表情を楽しんだ。

 4時間後、モントリオール・リバーに架かる湾曲した鉄橋を渡ると両サイドに切り立った崖が現れた。程なくしてアガワ渓谷にある無人駅に到着する。

 川のほとりには芝生の広場があり、ピクニックテーブルが置かれている。まるで森の中にひっそりと息づくオアシスといった感じだ。トレイルの先にある350段の階段を登ると、Vの字型の渓谷が一望できる見晴台に出る。頬を撫でる心地良い風を感じ、氷河期に刻まれたダイナミックな景観を眺めながら、カナダを旅している喜びに浸った。

オンタリオ湖畔に広がるプリンス・エドワード・カウンティ。18世紀のアメリカ独立戦争以降、独立を嫌うロイヤリスト(英国王党派)たちがアメリカから移り住み農地を開拓した。近年、土壌のよさが注目を集め、オーガニックの農場やワイナリーが続々と誕生している。「美食」の地として知れ渡るようになった。
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 ナイアガラ・オン・ザ・レイクに次ぐワインの産地として脚光を浴びているのが、オンタリオ湖畔に広がるプリンス・エドワード・カウンティである。1993年、この地に最初のワイナリーが誕生したのを機に、ブドウの栽培が盛んに行われるようになった。現在は40を超すワイナリーがあり、年々増え続けているという。

 グランジ・オブ・プリンス・エドワードに立ち寄ってみた。かつてモデルとして活躍していたキャロライン・グランジャーさんが、弁護士の父親と共にはじめたワイナリー。60エーカーを超える土地に7種の苗が植えられ、シャルドネ、リースリング、ピノ・ノワールなどを酒造している。やがてこのワイナリーを引き継ぐことになる娘のマギーさんが、ブドウ畑や建物地下にある樽貯蔵庫を案内してくれた。