「ある人の顔を、その特徴に合わせて、別の人の顔画像から作って、年齡を変える話をしましたが、この発想はいろいろ応用ができます。例えば写真でとった景色や街の風景を、アニメ作品の画像を使って再構成してみると、アニメ風の背景がつくれます。この背景の問題って、今アニメ業界ではすごく課題になっているんです。当然、キャラクターのデザインはとても重要なんですけど、背景がしょぼいとやっぱりうまく作品としては仕上がらないので、結構手間かけてやってるんですよね。例えば、『君の名は。』を見ていても、ご当地シリーズでいろんなシーン出てきますよね。あれは手書きですけど、ああいうのを何とか自動化できないかなっていうのでやっています」

実際の写真からアニメの背景をつくった例。下段左が森島さんによるもので、極めて短時間でできるのも特徴だ。(提供:森島繁生)
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 アニメの制作の現場では、よくモデルになる町を設定して、スタッフが写真を撮りまくってそこから背景を起こすことが多い。「ご当地アニメ」として明示的なものでなくても、このシーンはどこで、このシーンはどこというふうに特定できることがあり、ファンはいわゆる「聖地巡礼」に赴いたりする。参考になる写真を撮るところまではすでに多くの現場でやっていることなので、そこから背景が自動生成できるなら便利極まりないだろう。そのまま使えるクオリティでなくとも、気軽に試して手直しをする前提で開発されていることも重要だ。一枚の背景の生成にかかる時間はせいぜい10秒くらいだそうで、これならどんどん試してみることができる。また、静止画ではなく動画も扱えるので、その点でも効率化の要素になりうる。

当然、アニメの作風に合うように仕上げられる。(提供:森島繁生)
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「こういうのをスタイルトランスファーといって、最近CGの分野ではすごく流行っています。例えば実写のシーンをゴッホ風にしてくださいとか、宮崎駿風にしてくださいみたいな。ぼくの夢としては、これリアルタイムでできるようになったら、例えば、車のフロントガラスがAR(拡張現実)のディスプレイになっていて、向こうに見えるシーンが全部アニメ風になると面白いなと。もちろん、自動運転が前提ですが」

 それは、アニメ支援というか、その世界にどっぷり浸り込みたいアニメファン支援ではないだろうかと思いつつ、たしかに面白い。

 さらに、キャラクターのリップシンク(いわゆる口パクとの同期)。

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