1枚の写真から3次元の顔を復元するというのは、ぼくたちもふだんから行っていることだ。ある人の写真を見ると、なんとなくその人の顔の立体形状を想像しているし、その人が斜めを向いた写真を次に見せられても、たいていは同じ人だと判別できる。それと同じことをコンピュータができるようになり、精度も人間を上回ったということだろうか。

 気づいた方もいると思うが、こういった課題は、最近勃興著しいAIの技術、いわゆる深層学習(ディープラーニング)の得意分野だ。南カリフォルニア大学が持っていた実在の人物の顔データベースを使い、正面を向いた1枚の写真と実際の立体形状などをマッチングする学習をさせて、良い結果を得た。今年(2018年)のSIGGRAPHでも論文が通り、発表できることになった。

写真1枚からその人の3D画像をつくる技術。(SIGGRAPH 2018)(提供:森島繁生)

 なお、ここで使った顔のデータベースは、映画製作と密接な関係にある南カリフォルニア大学(映画学科があり多くの人材が映画界に輩出。ジョージ・ルーカスも卒業生)だけに、プロの役者のものだったという。

「もともと映画を作るために集められたものです。例えば爆発シーンなど、役者がそのままいたら危ないですよね。ですから、役者は安全なスタジオで演技をして、そこに爆発が起こっているようなライティングを再現してやるわけです。顔にどんなふうに光が当たるかというのは顔のデータがないとできませんし、その顔のデータを研究目的にも使えるようにしているんです」

 ここではちゃんと書面上の契約があるようで、「ハリソン・フォードの肖像権」問題は、20年越しの解決をみたことになる。

「というわけで、こういう技術を使って、フューチャーキャストをまたやれないかというわけです。今度は、来てくださったお客さんたちの写真をどこからでもバシャバシャ撮っていって、それだけですぐに顔のCGができます。ただ、今のところ、やはりこれも形状だけで、表情までいかないんです。最初、Sayaレベルのクオリティで自動生成と言いましたけど、それは当然、その人らしい表情というのも入ってくるのですが、そこまで行っていないんですね」

 もしも、今後、その人らしい表情まで簡単に再現できるようになったとすると……ちょっと別次元の怖いくらいの可能性が見えてくるような気がする。

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