第1回 もしも“誰かの顔”を生き写す3DCGをつくれたら

顔がその人のアイコンであることを示す象徴的な1枚だろう。奇しくも物理学者だが、情報としての顔について、いまどんな研究が行なわれているのだろうか。(写真クリックでこの号のページへ)

 ぼくたちには「顔」がある。

 当たり前だ。

 当たり前すぎて、深く考えることは少ない。

 誰かを思い起こすとき、大抵は顔を思い浮かべる。もちろん、その人のぬくもりや、匂い、あるいは何か特徴的なパーツ、さらには「タマシイの形」などを想起する人もいるかもしれないが、それは、よほどお互いに親しい関係か、視覚以外の感覚が鋭敏な人たちの例だろう。一般に、顔は「その人」を代表するアイコンだ。

 だからこそ「顔」は日常的な言葉でもおもしろい使われ方をする。「業界の顔」「顔パス」「顔が広い」というのは、象徴的な意味合いが強いし、さらに「顔を貸す・借りる・売る」などといった表現を考えてみると、「顔」に宿る「本人性」みたいなものが重要視されていると分かる。ゆえに「顔色をうかがう」「顔に出る」「顔に書いてある」というような、コミュニケーションにかかわる言い回しにも使われる。

 最近では、技術的な話題として、スマートフォンなどで使う「顔認証」が普及しつつある。顔はセキュリティのために使えるほど、「本人性」が高いものなのだとぼくたちは理解している。

 じゃあ、こういった様々な意味あいや機能がある「顔」について、どんな研究がなされているのだろうか。様々なアプローチがありえるが、応用物理学科、つまりバリバリの基礎科学(物理学)を応用する手法で迫るラボを訪ねた。なにしろ、顔をCGで「再現」することに、大いなる情熱を注ぎ込み、ブレイクスルーを重ねているという。基礎技術的な部分から、エンタテインメントとしての応用まで、幅広く、深い世界を垣間見させてもらえそうだ。

 ところは、新宿区西早稲田にある早稲田大学西早稲田キャンパス。地下鉄副都心線の駅からキャンパス内に直結する出口があり、地上に出ると最初に眼に入るのが目指す建物だった。