人間がこれからも生きものとして地球に住み続けるために必要なことについて、JT生命誌研究館館長の中村桂子さんと関野吉晴さんが語り合います。

人間は他の生きものと共生しているか

関野 提言編(前回記事)でイチジクとイチジクコバチのお話がありました。花と昆虫の関係はたまたまうまくいったんですね。お互いに契約したわけではないけれど、花は蜜を作り、昆虫は花粉まみれになって授粉することで共生しています。共生は持続可能な関係です。

ところが、恐竜は植物と共生関係を築けなかったから滅びたのだという説を、シベリアで化石を掘っている現場で聞きました。風媒花の裸子植物を一方的に食べていた恐竜は、エサがどんどん少なくなり、そこにとどめの巨大隕石が落ちてきたというのです。なるほどと思いました。

中村 一言で言うと、その時一番はびこっていたものが滅びるのでしょう。そういうものが一番衝撃に弱いんですね。今一番はびこっているのは何でしょうか。

(撮影:青木計意子)
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関野 「ビッグ5」(特に規模の大きな5回の大量絶滅)というのがあって、最後が6600万年前の恐竜絶滅ですね。今は6回目の大量絶滅、「ビッグ6」と言ってもいいかもしれません。危機に直面しているのはゾウ、ライオン、ジャガー、トラ、ホッキョクグマ、ヒョウ、ゴリラ、シロナガスクジラ、オランウータンなどの大型動物たちです。ビッグ5までの絶滅は全地球凍結を含む気候変動とか、隕石の衝突が原因で起こっています。でも、現在の絶滅の危機は直接的・間接的にヒトの活動が原因です。大型動物は各地域の生態系の頂点にいますが、はびこってはいません。私たちヒトが一番はびこっていますね。

ところで、先日写真家の伊沢正名さんに「人間が他の生き物の役に立っていることがあるか」と訊かれましたが、答えられませんでした。人間は他の生きものの役に立っているでしょうか。

中村 私は「役に立つ」というのは無理だと思っています。人間は人間らしく生きればいい。でも、その時に「自分自身も生きものなんだ」という感覚をもって選択をすることが、一番迷惑が少なくて、両方を存在させる方法じゃないかと思います。正解かどうかわかりませんが、60年間生きものを見てきて、私はそうしようと思っています。

生命誌から生まれた「世界観」(提供:中村桂子)
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