第4回 中村桂子(生命誌):人間は生きものの中にいる(対談編)

人類の祖先はどんな道を歩んできたか

関野 カンブリア紀の大爆発の時に、私たちの先祖のピカイアという小さなナメクジウオのような生きものが現れました。そのころ動物は内骨格と外骨格という2つのデザインをしたわけですよね。私たちは内骨格で、それが脊椎動物の元になります。外骨格の方が頑丈ですよね。

中村 外骨格は乾燥に強いんです。5億年くらい前まで海にいた生きものにとって、一番大事なのは水です。水から離れることを私は「生きもの上陸大作戦」と言っているんですけど、「上陸」する時は「やるぞー!」という気持ちがあったと考えると楽しい。科学にこだわらずに。水の中にいる方が明らかに安心なのに、干からびる危険を冒してあえて水から離れるのはたいへんな挑戦ですから、そこが好きなんです。

生命誌マンダラ(提供:中村桂子、イラスト・デザイン:中川 学、尾崎閑也)
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 昆虫は外に殻を作ったから大きくはなれないけれど、乾燥しにくいし、小さいからどこにでもニッチェをみつけて多様化できました。動物の8割方が昆虫ですから、多様性と数では昆虫が世界を支配しているとも言えます。

関野 おもしろいのは、何かが滅ぶと必ず進化が起こることです。

中村 絶滅の後は隙間ができるので、急速な進化が起きます。

関野 恐竜が滅んだ後に、私たちの祖先のネズミみたいな動物が増えました。

中村 ツパイのような生きもので、恐竜が怖いので夜行性でちょこちょこしていました。

関野 その時に森に入らなかったら、私たちは違う形になったのでしょうか。

中村 歴史に「もし」はないのですが、今の霊長類を育てたのは森でしょうね。

関野 内骨格の哺乳類は大きくなることができました。ゴリラのように大きくなると、けんかでは有利ですよね。

中村 小型のボノボは平和的で賢くてかわいいですけどね。

関野 そうですね。チンパンジーは暴力的ですが。

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