第4回 昆虫の生き様に気高さをみた

──香川さんが思う、昆虫のすごさとはどんなところですか。

 人間から見ると、昆虫は下等で野蛮な生きものに思えるかもしれないけれど、ミツバチやアリなどは、人間が行っている社会性のある営みをはるか昔から実践してきたわけですよ。

 また、オドリバエというハエの仲間は、雄が雌にえさをプレゼントして、雌がえさを気に入って食べてくれたら、交尾してもらえる。野蛮どころか、人間の男性が女性と交際するときにプレゼントを贈るのと、まったく同じことをしているんです。

──下等どころか、人間のモデルケースのような営みや行動を昆虫は行っているのですね。

 人類が誕生する何億年も前から、昆虫はこの地球上で活動していて、今、われわれが見ることのできる昆虫の姿かたちや、「変態」を含めた体のしくみ、保護色や擬態をはじめとする不思議な生態は、どれも太古の昔から、気の遠くなるような悠久の時間のなかで、「種」として生き延びるために進化を繰り返して獲得してきたものです。

 ちっぽけで、取るに足らない生きものに思えるかもしれないけど、生命として考えたときにね、昆虫はわれわれ人間の大先輩なんですよ。

──「昆虫はグロテスクで気持ち悪い」と嫌う人も少なくありませんが、見た目だけでとらえてはいけないということですね。

 そうなんです。虫を気持ち悪いと感じる人がいるのはわかりますよ。でも、人から見て不気味な形や模様を持つ昆虫も、こういう形をしていると天敵に食べられなかったとか、こんな行動をとっていると雌に出会いやすいとか、絶滅しないように命を連綿とつないできた結果、今の形態や生態があるわけで。

 昆虫を見て気持ち悪いと思う前に、尊い命のつながりに少しでも思いを馳せてほしいですね。そのうえで、「なぜ、こんな変な形をしているんだろう」「どうして、こんな体色や模様をしているのか」と考えてもらえると、昆虫がぐっとおもしろく思えて、興味の対象に変わっていくんじゃないかな。

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