第2回 カマキリは人生の師匠

オオカマキリ 写真=腰本文子
オオカマキリ 写真=腰本文子
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 アサガオの支柱に使うような棒をそっと近づけて、カマキリをそこにうまく誘導したら、棒に乗せたまま家に連れ帰るというのが、僕の編み出した採集法でした。彼らに、「捕まった」というショックを与えないで、根気よく時間を掛けて棒に誘導する。そうやって持ち帰り、知らぬ間に自宅の庭に放すのが、僕流の捕まえ方です。

──えっ、せっかく捕まえたのに、庭に放しちゃうんですか?

 虫かごに入れるなんて野暮なことはしませんよ。放し飼いにして、何日も庭に居続けさせるんです。そして、オンブバッタなどの生き餌を与える。ちょっと残酷なんだけど、えさが逃げ惑わないように後ろ足を一本、外したりして。

──カマキリはちゃんと、そのえさに飛びつくのですね。

 えさを目の前に置いた瞬間、バッと飛びかかります!
 半端じゃないくらい、すごい反応力です。というのも、自然界でカマキリがえさに遭遇するなんて滅多にあることじゃなく、千載一遇のチャンスなんですよ。トンボやアシナガバチのように、飛び回ってえさを探すタイプの肉食昆虫とは違い、もっぱら待ち伏せ戦法で獲物を狩るカマキリにとって、捕食対象の虫は、運が良ければ出会える貴重な存在なわけです。

──そうか、いつもお腹を空かせていると。

 そう、野生のカマキリは常に空きっ腹なんです。だから、僕が与えたえさにすごい勢いで襲いかかる。

 それがおもしろくて、ガンガンえさを与え続ける。それをカマキリはガンガン食う。そして、お腹がふくれたある日を境に、えさに対する興味が薄れ、どんどん食いつきが悪くなっていくんですよ。

 何日か前の勇ましい、あの獰猛な姿はどこへやら。持って生まれた狩猟本能が影をひそめ、あまつさえ、えさをポロリと落としたりしてね。

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