なお、健康影響が心配なマイクロプラスチック汚染として、今年になって、ペットボトルの飲料水にマイクロプラスチックが混入しているという研究が発表され、ニュースになった。

 それによると、9つの国からサンプルされた259個のペットボトル飲料水のうち、93パーセントからマイクロプラスチックが見つかったという。平均すると0.1ミリメートルを超えるものは1リットルあたり10個ほど。それ以下のものは325個。この報告を受けて、世界保健機構(WHO)が検証に乗り出している。

 かなり憂慮すべき事態なのだろうか。

「これについては、結果自体正しいのかどうか、専門家の間でも意見が分かれていますね。測定の途中での汚染も結構起こりやすいんじゃないかということがありまして。同じグループが、水道水に化繊の繊維が入っているという報告もしているんですが、そういうのは室内にも漂っていますから、相当慎重に容器も含めて取り扱わなければなりません。だから、これも論争中です。僕が思うのは、ペットボトルにはもしかしたら本当に小さなプラスチック破片が入っているのかもしれないけど、それを心配するなら、全体がプラスチックでつくられているものに入っている水を飲むこと自体、まず心配されたほうがいいんじゃないですか」

 ということである。

化学繊維もプラスチックの一種。そういうものなら、確かに空気中にも漂っているだろう。
[画像をタップでギャラリー表示]

つづく

高田秀重(たかだ ひでしげ)

1959年、東京都生まれ。東京農工大学農学部環境資源科学科教授。理学博士。1982年、東京都立大学(現首都大学東京)理学部化学科を卒業。1986年、同大学院理学研究科化学専攻博士課程中退し、東京農工大学農学部環境保護学科助手に就任。97年、同助教授。2007年より現職。日本水環境学会学術賞、日本環境化学会学術賞、日本海洋学会岡田賞など受賞多数。世界各地の海岸で拾ったマイクロプラスチックのモニタリングを行う市民科学的活動「インターナショナル・ペレットウォッチ」を主宰。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、『天空の約束』(集英社文庫)、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)とその“サイドB”としてブラインドサッカーの世界を描いた『太陽ときみの声』(朝日学生新聞社)など。
本連載からは、ホモ・サピエンス以前のアジアの人類史に関する最新の知見をまとめた近著『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス)をはじめ、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめた『8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識』(集英社文庫)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)がスピンアウトしている。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「「秘密基地からハッシン!」」を配信中。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る