メダカの実験は、アメリカのサンディエゴの港に3カ月つけておいて汚染物質を吸着させたレジンペレットをさらに細かく砕いてメダカに与えたそうだ。サンディエゴのような大都市の港の水はそれなりに汚染されていると考えられるが、レジンペレットはさらにその汚染物質を吸着して濃縮したような状態になっているらしい。

 ここで気をつけなければならないのは、こういったことの多くが、あくまで実験室内での結果であり、現在の環境中で想定されているマイクロプラスチックへの曝露よりもはるかに高いレベルの汚染にさらされた上で起きているということだ。また、動物実験、細胞実験で見られた有害性が、人間の健康問題としては観察できないというのはよくある話で、実際に人間にとって有害かどうかは人間社会での疫学調査で判断する必要がある。そのあたりはどうなのだろう。

実際に、人間にはどんな影響があるのだろうか。
[画像をタップでギャラリー表示]

「昔の水俣病やカネミ油症のように急性毒性的な反応が出るわけではないでしょう。むしろ、ゆっくりと慢性的なものとして問題が起きてくるかもしれないということです。いや、もう既に問題が起こっているのかもしれないと思っています。例えばガンになるリスクがいくらか高まるとか、免疫力が下がるとか、全体の問題として人々の健康が損なわれていたとしても、なかなか因果関係を見出しにくいし、この化学物質が影響していますと特定しにくいんです」

 もしも、手っ取り早く結論を知りたければ、人間の被験者にマイクロプラスチックを食べてもらうランダム割付実験をすればいい。しかし、それは非倫理的なので決してやってはいけないことだ。だから、あくまで社会の中で人間集団の観察をすることになる。適切な対照群を見つけて、どの程度リスクが上がるのか、あるいは上がらないのか、もしも、リスクが上がる場合は、寄与割合はどれくらいなのかなどと、疫学の方法論で因果推論していくことになる。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る