第1回 忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実

 プラスチックとは当たり前だが、1種類ではない。もともと「可塑性がある」というのが"plastic"の原義で、熱を加えて自由な形にできる合成樹脂のことを指すようになった。今ぼくらが日本語で「プラスチック」と呼んでいるものの中には、ポリエチレン(レジ袋や、ラップ、容器など)、ポリプロピレン(耐熱容器やラップなど)、ポリスチレン(発泡スチロールなど)、ポリ塩化ビニル(多岐に渡る用途。塩ビパイプ、ソフビ玩具などがよく知られる)、PET(ペットボトルなど)などが含まれる。総称としては、むしろ合成樹脂とした方がよいのかもしれないが、ここでは日常用語としての「プラスチック」で通す。

 さて、プラスチックの多くは、最初、海面近くを浮遊する。特に生産量が多い、ポリエチレンとポリプロピレンは、水よりも軽く小さくなっても浮いている。カタクチイワシは、プランクトン食だから、それを間違えて食べてしまうのだろう。あるいは、最近ではプランクトンそのものがマイクロプラスチックを取り込んでしまう事例の報告もあるので、「マイクロプラスチック入りプランクトン」を食べた可能性もある。

 そして、こういったカタクチイワシや、「カタクチイワシを食べた魚」が、ぼくたちの食卓に上がるとする。結局、ぼくたちが環境中に出してしまったものが、まわりまわって自らのもとへと返ってきてしまうのである。

「我々は汚染する者であり、汚染される者でもあるんです」というふうに高田さんは表現した。

ポリエチレンとポリプロピレンは水に浮く。プランクトン食のカタクチイワシが餌と一緒に、あるいは間違えて食べてしまうのももっともだ。
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 想像するだけで気持ち悪いが、もしも人体に入っても、消化されることもなくそのまま排泄される。だから、これはあくまで気分の問題であって、気にする必要はないかもしれない。

 というのは、あくまで楽観的な「見込み」だ。そして、残念ながら間違った「見込み」でもあるらしい。

「プラスチックには、もともと添加剤が入っていますし、汚染物質を吸着してしまう性質もあります。海中のプラスチックの汚染物質濃度は、周辺の海水中の十万倍から百万倍にもなるんです。それらの中には、内分泌撹乱物質、いわゆる環境ホルモンと言われるものもあります。環境ホルモンは、90年代にちょっと騒がれすぎて、今は反動で報道されにくくなっていますが、だから安全というわけじゃないんです。内分泌系の撹乱だけではなく、動物実験や細胞実験でいろいろな影響が示唆されていますので、取り込まない方がいいに決まっています。さらに、とっくに禁止されてもう使われていない化学物質PCBなども、環境中に残留しているものが吸着して、高濃度になっています」