ノアの箱舟、契約の箱、エデン… 謎の現場を探る

失われた「アーク」はジンバブエに?

 旧約聖書に何度か出てくる「契約の箱(アーク)」は、ノアの箱舟と同じく、大切なものを運んでいた。金で覆われた長さ1.2メートルほどの箱には、十戒の刻まれた石板が収められていたのだ。そしてこの箱は、驚異的な力を秘めていた。契約の箱を担いだ祭司たちが、イスラエルの民の先頭に立ってヨルダン川に足を踏み入れると、川の水がせき止められ、川を渡ることができた。また、エリコの街では、契約の箱の不思議な力によって城壁を崩すことができたという。そして最終的に、契約の箱はソロモン王が建てたエルサレムの第一神殿に到着し、厳重に保管されることになる。

契約の箱を運ぶダビデ王。16世紀前半に描かれた絵画
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 契約の箱に関する記述は、そこで終わっている。紀元前586年にバビロニア人がエルサレムを侵略したときに神殿が破壊され、契約の箱がどうなったかについては記録がない。古代の注解書によれば、契約の箱は炎を吹き出し、地面のサソリやヘビを一掃することができたという。不信心な人間が契約の箱を見ると、命を落とすとも言われていた。

 契約の箱はどこにあるのだろうか。第一神殿が建っていた「神殿の丘」に、まだ埋まっているという見解もある。十字軍の兵士が契約の箱を手に入れ、フランスに運ばれたのだと信じるヨーロッパの作家たちもいる。エチオピア正教会は、エチオピアのアクスムの非公開の場所で保管しているのだと主張する。

 最近、ロンドンの東洋アフリカ研究学院の教授チューダー・パーフィットが、ジンバブエにある神聖な物体が契約の箱ではないかという説を提唱した。レンバ族が契約の箱を持ち去ったというのだ。レンバ族は契約の箱だという神聖な物体をンゴマと呼ぶ。太鼓のような形をした入れ物だ。放射性炭素年代測定法により、旧約聖書に出てくる契約の箱よりも新しいことが判明したが、パーフィットは引き下がらない。ンゴマは、契約の箱の代替品か2世代目だと信じているのだ。

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