皇帝ネロの暴挙、焼け果てたローマに黄金宮殿を建てる

ローマ市街を焼き払ったと言われるネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス(西暦37年~68年)の像。(ミュンヘン、グリュプトテーク蔵)
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 ネロは芸術に関心が高く、とりわけギリシャの作品に心酔していた。自身も詩を書き、芝居を演じ、踊りを舞い、帝国各地を巡業さえした。同様に、土木と建築にも魅了されていた。また、ギリシャの競技や芸術コンクールをローマ市民に紹介したり、高名な竪琴奏者テルプヌスを雇って指導を受けたりもした。一方で、人が眉をひそめるような性的嗜好の数々も語り継がれている。

 そんなネロに後見役としてあれこれ指図していたのが母親のアグリッピナだったことは明らかだ。しかし即位から数年のうちに、ネロは母親を宮廷から追い出してしまう。そして母親がネロの弟にあたるブリタンニクスを可愛がりはじめると、これを暗殺。母親も、ネロの新しい愛人ポッパエア・サビナに難癖をつけるようになったため、ブリタンニクスのあとを追わされた。

 ポッパエア・サビナはネロの親友の妻だったが、彼女はどうやらネロの最もひどい悪行のいくつかを裏で奨励していたようだ。やがてネロは誇大妄想に取りつかれ、恐怖政治を始める。妻のオクタウィア、信頼の厚かったセネカら助言者が次々に犠牲となり、排除された。

都の再建計画

 ギリシャ建築に対する関心が昂じ、ネロはローマの都を一から作り直すという途方もない計画を思いつく。凝った造りの宮殿や邸宅や楼閣が建ち並ぶ、壮麗な都に生まれ変わらせようというのだ。元老院は呆れ、ネロが都を作りかえるために必要だという大規模な取り壊しに協力することを拒んだ。

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