第4回 オーロラが見える寒かった地方で恐竜の巣を発見

 大学生と大学院生のコンビが、おんぼろバンに乗って、化石を掘って走り回る。キャンプをしたり、知り合いの家に泊めてもらったり。どこか絵になる。じわじわ胸に来るようなロードムービーが作れそうだ。

 なおこの時の大学院生とは、のちに宮下さんと「巨大な海生ワニ」の論文を出すことになる、フェデリコ・ファンティ博士(現・ボローニャ大学)だ。

 では、絵になる一夏の発掘行きでいったい何が見つかったのだろう。

「川端さんもアルバータ州にいらっしゃったんで想像できると思うんですけど、歯が一番見つけやすいんです。エナメル層があって光るので。それで、目についた歯の破片を幾つか拾い上げたら、あ、ちっちゃな脊椎がある、ここにもっと小さな歯があると見つけていって、最終的には小指の爪ぐらいの大きさのトカゲの頭まで、完全な形で出てきました。それらを全部まとめて、こういう古環境が広がっていたと復元したわけです」

 鍵になる種は、恐竜だった。それも、まだ巣立っていない赤ちゃん恐竜も出てきたからおもしろい。

「孵化したばかりで小さな草食恐竜ハドロサウルスの化石が含まれていたんです。おまけに、ハドロサウルスの営巣地でよく一緒に見つかる肉食恐竜トロオドンの歯もいっぱい見つかりました。恐らく営巣地を狙って捕食していたんですね。アルバータの他の場所でも、大体、ハドロサウルスの赤ちゃんの化石が出てくるところって、トロオドンの歯もたくさん出てくるんですよね」

グランドプレーリーでハドロサウルスの営巣地を発見した初日の「戦利品」。ほとんどはハドロサウルスの成体のものだが、幼体の化石の一部、トロオドンの歯、トカゲの頭骨などが右下のペトリ皿に入っている。(写真提供:宮下哲人)
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ハドロサウルスの幼体の化石をクローズアップで撮影。左上から時計回りに、歯、歯、尺骨、脊椎。脊椎に小さな穴がたくさん空いているのは、まだ骨化が進んでいなかったためと考えられる。(写真提供:宮下哲人)
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