ノグチさん、って誰?

巣穴から、何かをくわえて飛び出した雄のノグチゲラ。雄と雌が共同で掘った巣穴は、入り口の直径が7センチほどで、深さは60センチに達することもある。巣立ちまで、つがいは一緒にひなを育てる。(写真:HIROZO MAKI)
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ノグチゲラの地鳴き(1年を通じて雌雄が発する鳴き声 )を聞いてみよう。(音声提供:松田道生)

ノグチゲラのドラミング(木をつつく音)を聞いてみよう。(音声提供:松田道生)

 沖縄本島北部の山原(やんばる)の森だけに生息する大型のキツツキ、ノグチゲラ。暗赤色や濃い赤褐色の羽毛が全身を包む。全体としては落ち着いた色合いだが、翼を広げたときに現れる白い水玉模様は、どこかポップで軽やかな印象だ。

 だが何より、この鳥を印象づけているのは名前ではないか。和名は学名の種小名noguchiiに由来する。この鳥を新種として発表した英国の鳥類学者が、標本を提供した人物の意を受けて命名。

 その人物とは、明治の初めに横浜に住んでいた英国人のヘンリー・プライヤーだ。商社などで働く傍ら、日本各地の鳥やチョウの標本を収集し、研究した。では、プライヤーが沖縄のキツツキに名前をささげた、「ノグチ」とは誰なのか?

 北海道大学で助教を務める加藤克さんは、この謎を解こうとしたことがある。プライヤー本人が書き残した資料はなく、周辺情報を調べて推察するしかなかったが、可能性の一つとして浮かび上がったのが、プライヤーとも交流のあった通訳の野口源之助だ。決定的な証拠がないため、加藤さんは「あくまでも試論です」と強調する。真相を知るのは、横浜の外国人墓地に眠るプライヤーだけなのかもしれない。

ノグチゲラ
Sapheopipo noguchii

全長:30センチ
繁殖:4~5月に産卵し、5~6月に巣立つ。
保全状況:生息地の破壊や外来種により絶滅の危険が極めて高い。
食性:樹上や地上で節足動物や果実を食べる。
豆知識:英名は「プライヤーのキツツキ」。