月明かりに誘われて

夏の雨上がりの午後、奄美大島中部の薄暗い林道脇でアマミヤマシギと出合った。通り過ぎる自動車に驚いて、少し飛び上がって斜面に着地。しばらくして、林の中へと飛び去った。(写真:TAKEO NIO)
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アマミヤマシギの鳴き声を聞いてみよう。(音声提供:飯村孝文)

 奄美群島や沖縄諸島の一部の照葉樹林に生息するアマミヤマシギは、湿った日陰の林床を好む。そのため、昼間は人目につくことが少ないが、夜になると道路や畑に姿を現す。

 環境省奄美野生生物保護センターで希少種保護増殖等専門員を務める水田拓さんは、道路に出現する個体数が気象条件などに影響されているのではないかと考え、NPO法人奄美野鳥の会とともに調査することにした。奄美大島北部の龍郷町で、1年間にわたって夜間の出現数を数え、月の明るさ(月齢)や雲の量、風速、気温、繁殖期か否かといった要因との関係を解析したのだ。

「最も影響を与えていたのが月の明かりで、月が明るい夜ほど、道路に出現する数が多い傾向にありました」と水田さん。繁殖期と非繁殖期で比べた場合では、繁殖期の方が多いこともわかった。

 アマミヤマシギにとって、夜の道路は求愛や採餌、休息の場だと考えられている。こうした活動が主に視覚を頼りに行われているため、明るい夜ほど都合が良いのではないかと、水田さんは推察する。月明かりの下で愛を伝え、腹を満たし、一休みする。ちょっと素敵ではないか。

アマミヤマシギ
Scolopax mira

全長:36センチ
分布:奄美群島と沖縄諸島の一部
食性:ミミズなどの土壌生物。
繁殖期:2~8月
保全状況:絶滅の危険が増大している。