もはや海の珍獣図鑑! 16世紀の「カルタ・マリナ」

■ロッカス

 オラウスは『北方民族文化誌』の中で、このロッカス(エイ)を、ドイツの科学者で哲学者のアルベルトゥス・マグヌス(1200年頃)が書いた親切なイルカの物語になぞらえ、泳いでいる人間を海岸まで運んでくれるとした。しかし、イルカの肉を食べた疑いのある人間を助けたときは、その人間を食べてしまったという。

 オルテリウスはこのエイにオランダ語で「クジラエイ」と名づけたが、セバスチャン・ミュンスターは自分の作品でこの生き物をほとんどエイの姿で描き、優しい性格については触れず、次のように紹介した。

「逆立った硬い毛あるいは骨で全身が覆われている。サメやガンギエイに似ているが、比べられないほど大きい。姿はまるで島のように見え、ヒレで小舟でも大型船でもひっくり返す」

■ゼフィアス

 この怪物の名前は、ギリシャ語で「剣」を意味する言葉「シフィアス」に由来する。フクロウのような顔をし、刃が鋭い背びれのように背中から突き出ている。

「この海獣は北方の海を知り尽くしており、ほかの怪物たちと一緒にいるのも当然といえよう。似た生物はいないが、クジラに似た部分もある。その醜い顔はフクロウのようで、口はおどろくほど奥まで続いており、内側をのぞき込んだものを恐怖に陥れて退散させる。目は恐ろしく、背中は剣のように盛り上がり、鼻先もとがっている。ゼフィアスは北方の海岸にしばしば忍び込んで危険をもたらす。出会った船の船体に穴を開け、沈めることも多い」

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