第4回 嘘を見破る4つの方法とその精度

3)脳波

「いわゆる嘘発見器は、脈波、呼吸、皮膚電気活動、心拍といった、末梢の生理的な指標を見ていました。でもこれだと、カウンターメジャーと言いまして、検査される側が妨害工作できるんです。たとえば、検査中に舌を噛むとか。じゃあ中枢神経、脳ならばどうなのかっていう話になって、まずは脳波。さっきお話した隠匿情報検査と同じパラダイムを用いた質問をして、P300と呼ばれる脳の電位の変動を検出するという方法があります。当事者しか知りえない情報が呈示された時に振幅が増大するのがP300です」

 P300とは、被検査者にとって何か意味のある刺激(事象、event)を与えた後に観察される、いわゆる事象関連電位(event-related potential)の一種だ。300というのは刺激呈示の後300ミリ秒後に振幅が増大することからきている。「隠匿情報検査」(CIT)において裁決質問の時に振幅の増大があれば、まさにその情報に反応していることになる。ポリグラフを使った時にはある程度可能だった妨害工作が、より困難だと言われることがある。

 またP300を見る以外でも、脳波の組み合わせを調べることで記憶の有無を判定するBrain Fingerprinting(脳指紋、脳紋)という方法も開発されているという。

4)fMRI

 医療機関でもおなじみのfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で、頭の中でどの部位が活動しているかを見る。

 脳をスキャンするために、大音量の中、横になって装置の中でじっとしていなければならないという欠点があるが、活動する部位を確認することができるという意味では、素人目には信頼性が高いのではないかと考えてしまう。

 村井さん自身が関わった実験があるので、それを説明していただいた。

 セッティングとしては「いわゆる嘘発見器」のところで紹介した「お金を、カバン、ジャケット、バケツなどのどこかに隠してもらって、後で当てる」というものだ。隠匿情報検査の例として挙げたが、村井さんは、その時、実はfMRIを使って脳の活動を見る研究をしていたのだった。

 実際に隠した場所(裁決刺激、1カ所)、ここには隠さないようにと指示した場所(標的刺激、1カ所)、それら以外の場所(標準刺激、4カ所)についてそれぞれ脳の活動を見るのだが、ここでは特に裁決刺激と標準刺激について注目した。なお、「いわゆる嘘発見器」のところでは「裁決質問」という用語だったが、ここでは質問ではなく映像刺激を呈示しているので「裁決刺激」となっている。さて、結果は。

「裁決刺激が呈示された時に、賦活する脳の部位として、島(とう)前部というところに注目しました。実験参加者のAさんは、ジャケットの刺激で右島前部が賦活していて、実際にジャケットに隠したということなので、当たっていました。Bさんは、封筒で左右の島前部が賦活していて、こちらも当たりました。ただCさんの場合、ゴミ箱で右島前部が賦活したので、ゴミ箱に隠したのかと思ったら、実は封筒にも弱い活動が出ていて、封筒が正解でした。ゴミ箱とバケツで混乱してしまったそうで、そのせいでこのような反応が出たんです」