先行研究としてデパウロという研究者が行ったものがあり、それによると、1日平均で、大学生の男性は1.84回、女性は2.04回の嘘をついていた。

 一方、村井さんの研究では、男性1.57回、女性は1.96回だった。また、嘘をつかれたと思った回数は、男性0.36回、女性0.36回とたまたま同じになった。

 デパウロの結果と、村井さんの結果は似通っており、男女とも1日に1回か2回は嘘をついていることが分かった(ともに女性の方がやや多いが、統計的に有意な差ではない)。これを多いとみるか、少ないとみるかは人によるだろう。しかも、ここで言う嘘は、かなり範囲が広いものなので、たとえば「親になにかを聞かれて、あまり言いたくないので、むにゃむにゃと言葉を濁す」ということや、「あまり行きたくない飲み会の誘いを、本当は用事などないのに、ちょっと用事があるので、と断る」といったことも含まれる。そう考えると、自分も似たようなものかもしれないと思う。

大学生のデータから言えることは……。
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 また、この調査で注目すべきは、嘘をついた回数そのものよりも、嘘をつかれたと思う回数との頻度の違いかもしれない。ひとことで言って、嘘をつく回数よりも、嘘をつかれたと思う回数の方がずっと少なく、つまり、人は嘘をつかれてもそれほど気づかないことを示唆している。

 村井さんは、調査参加者が1日のうちに他人と会話なりなんなり「社会的相互作用」をする回数を同時に調べている。「社会的相互作用」とは、「10分以上続く、2人もしくはそれ以上の人の相互的なやりとり」「双方が相手に対して働きかけをし、相手の働きかけに対して何らかの反応をする」ことだそうだ。記録の中の嘘はそういった相互作用の中で、ついたりつかれたりしたものだ。

 男性の場合、相互作用は1日平均4.15回で、そのうち1.57回、嘘をつく。つまり、だいたい相互作用2.7回に1回嘘をついている計算だ。一方、嘘をつかれたと思った回数は、相互作用11.11回に1回だ。女性でも同じ計算をすると、相互作用3.13回に1回嘘をつく反面、20回に1回しか嘘をつかれたとは感じていない。「自分の嘘」はもちろん自分で分かるわけだが、「他人の嘘」については人間は鈍感なのだろうか。

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