第1回 いったい嘘ってなんだろう―嘘の心理学、事始め

「嘘ってとりわけ心に直結した現象のように思います。たとえば本当に小さい子どもは嘘をつけないわけで、それが、発達していく中で嘘をつけるようになる。嘘の研究の根底にあるものって、心そのものへの基本的な興味ともいえるでしょう。それと同時に、『嘘を見破ることはできるのか』という応用的なテーマも大きな関心を集めてきました。犯罪捜査でも需要があるし、日常生活でも嘘を見破りたい場面はあるでしょうから、関心が強いのだと思います」

 たしかに、3歳くらいにならないと幼児は嘘をつけないと言われている。嘘をつくためには、相手と自分が違う存在で、おたがいに別の体験をしているのだということを理解する必要がある。他者の心を推論し、理解する能力、いわゆる「心の理論」が必要だ。その上で、相手に嘘と知られないような情報呈示をするなど、高度な技術が必要になる。

 一方、嘘を見破る方法というのは、俗流「嘘の心理学」もっと端的には「嘘発見」などというキーワードでネット検索をすれば、ぞろぞろと出てくる超定番・超人気のテーマだ。その内容については冒頭にちょっと書いた。

 データと統計解析に基づいたサイエンスがあった上で、必ずしもデータに基づいているわけではないけれど思考を深めるアプローチというのが必要というのは、特にこういうテーマの場合、必然かもしれない。

 基礎からじっくりと教わっていこう。

 まず、「嘘ってなんですか」と聞いた。

 嘘の定義だとか、嘘の種類だとか、そういうものは、心理学の世界でどのように考えられているのだろうか。