第1回 登れば登るほど山に魅了されて

少女時代のゲルリンデさん。教会の神父さんと登山を楽しんでいた頃。(写真提供=ゲルリンデ・カルテンブルンナー)
[画像のクリックで拡大表示]

 最初は高いところに登って、山頂から見える美しい景色に感動していましたが、ロッククライミングを始めるようになってからは、困難を乗り越えて登っていく過程にも気持ちの高まりを感じるようになったんです。集中したクライミングをして、すばらしい景色にたどり着く。私にとってそのコンビネーションが魅力的でした。

――初めての8000m峰登山はいつ、どの山に?

 1994年、23歳のときに、中国とパキスタンの国境にある、標高8051mのブロード・ピークを目指しました。それまでにも、モンブランなどヨーロッパの4000m級の高峰には登っていましたが、ブロード・ピークは8000m峰の中では技術的な難易度が低く、比較的登りやすい山で、初めての挑戦にはよいと思ったのです。

 8000m峰を登ることにはずっと興味を持っていました。その大きなきっかけは16歳のとき、K2に登頂した登山家の講演を聞いたことでした。「私も高所登山がしてみたい、すばらしい景色が見てみたい」という強い思いを抱くようになったんです。

――「目指した」とおっしゃったのは、そのときは登頂できなかったのでしょうか。

 ブロード・ピークにはふたつのピークがあります。天気が急変し、ブロード・ピークの本峰にはたどり着けませんでした。標高8027mの、もうひとつのピークがそのときの最高到達点です。本峰までは標高差わずか20m。でも、風雪が吹き荒れる中、その先へ進むのはとても難しく、断念したんです。

――まさに、目の前で引き返したのですね。とても悔しかったのでは?