第3回 火星探査車の着陸地点を選ぶということ

「──イェゼロ(Jezero)って書いてあります。英語の発音では、ジェゼロって言うんですけども、スラブ系の言葉で『湖』って意味なんですよ。昔、川があって、湖に流れ込んでいた三角州が残っている。川が周りからいろんな土を集めてきたものが堆積している場所なんで、ここに行けば、いろんなものがあるだろうと。候補になるような場所って、結構ピンポイントなんですけど、このあたりには他にもニリ地溝とか面白い場所が集まっているのが特徴ですね」

「──あとは、西半球のマルガリティファー大陸の南側にあるホールデン・クレーターというところにも湖の堆積物が残っていると言われていますし、スピリット(2004年に着陸した火星ローバー。現在も活動中のオポチュニティの「同期」に当たる)が行ったグセフ・クレーターに戻りたいっていう意見もあるんです。スピリットがすでに行って、非常におもしろい岩が露出してるのが分かっているんで」

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 こういった場所は、前述の通り、科学者が興味を持っている場所であり、火星という惑星を理解するための地質学的な関心の的と、火星にいたかもしれない生命の痕跡を探す宇宙生物学的な関心の的がせめぎ合いつつも、くっきり「面白そう!」というところが選ばれている。

 それに対して、エンジニアはどんなふうに「ここは無理」「ここはやめといた方がいい」と切っていくのだろうか。

 まず大前提として、火星特有の事情があるという。