天気予報を確認すると、しばらくは晴れとも、曇りとも、雨とも言えない不安定な天気が続くらしい。
 ハカイは、外洋に開けているクィーンシャーロット海峡を渡った先の島々の中にある。
 太平洋からの潮が、どっと入って来る海峡を横断しなければならないことから、いつもよりも早い、薄暗い日の出前には出航となった。
 私はまたまた「ルカ係」となって、早々にルカを抱きしめて、狭いキャビンに入り、寝袋に潜り込んだ。
 外のコックピットで風に当たって操船しているほうが、船酔いにはならないが、ルカの安全を考えると、ルカを抱きしめてキャビンの中にいたほうがいい。
 そして私は、再びルカの強烈口臭と船の揺れでノックダウンしてしまったのだった。

 ルカを抱えたまま廃人と化している私を乗せた船は、まる一日かけてようやく、うねり狂う海峡を渡り切り、島陰となって風に影響されない大陸側の入り江に潜り込んだ。
 この日はもう、海との闘いは終わりと決めて、錨を下ろせそうな湾を探す。
 入り江の奥へと入って行くと、この海域の森を伐採している林業者たちのフローティング・ハウスが並んでいた。
 これは、海に浮かんでいる労働者住宅で、その海域の林の伐採が終われば、次の伐採地まで、タグボートで住居を引っ張って行くというものだ。
 住宅の近くに船を寄せてみると、一匹の犬が、どこからか走ってきて、こちらを見て吠えはじめた。が、労働者たちは作業に出掛けて留守なのか、それとも、休日でも特に外ですることがないために、家に籠っているのか、まったく人の気配がない。
 その、ちょっと寂しい海上労働者住居の近くでアンカリングをして、私たちは、翌日ハカイへと向かうことにした。

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