Episode4 海洋学者だけの秘密の場所、ハカイ

 カナダ西海岸及びアラスカ沿岸部は、氷河の移動によって岩肌が削れて形成されたフィヨルド海岸であるため、岩肌をむき出しにしている海岸ばかりが続き、砂浜などほとんど無い。
 ところがここには、まるで南国のリゾートにでも来たかのように砂浜が広がっている。
 あまりの広さに駆け出したルカが、砂浜に背中をスリスリ、鼻で砂を掘り掘り、前足で砂をカリカリとして、砂まみれに遊び始めた。

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「げげげ。夜になると、私の寝袋に入り込んでくるのだから、やめてくれー」
 と思うのだけれど、この開放感ときたら半端ではない。
 ちょうど潮が引いている時間で、遠浅になっていた。水の引いた砂浜が空を映しだしていて、本当に美しい。
 ところが、スキッパー・ボブは、明日の早朝には、ここを出発すると言う。
「えええ? こんな素晴らしい場所なのに、たった今日の半日だけ?」
 私は大反対だった。こんなにも美しい場所など、他にはない。この先は、フィヨルドの岩だらけだ。
「いやだ~」と、ダダを捏ねたい気分だった。

 帆を張る船の世界には、「Skipper is always right、スキッパーは常に正しい」という言葉がある。
 いわゆる、スキッパーの言うことは、絶対! という意味である。船内の反乱を起こさないための古い伝統ある言葉だ。
 が、私はここで、反乱を起こすのだ!
 もう一日、この海洋学者たちの島を探検したい!
 スキッパー・ボブは、一瞬困った顔を見せたが、ありがたいことに、すぐにも頭の中で、日程と航行距離を計算して、この島での滞在を一日延ばしてくれた。