第4回 その国のリアルな姿を追い求めて

セブ島のスラムエリア。再開発のために建物が取り壊された。行き場をなくした住人たちは瓦礫のなかで今もなお暮らし続けている
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――スラム街の取材で、危険な目に遭ったことはないのでしょうか。

 スラムが「安全な場所」とは言いませんが、僕はこれまでトラブルらしいトラブルに遭ったことはありません。たとえば、フィリピンのルソン島にあるマニラのスラム街は、殺されてもおかしくないようなところですが、セブ島のロレガストリートというスラムは、まったく感触が違います。

 では、ロレガストリートがほかのスラムより安全だからといって、なにもしないのかというとそういうわけではありません。夜と雨の日は出歩かないとか、最低限のルールを守ってスラム取材を重ねているのです。

――夜はわかりますが、雨の日も出歩かないとは、ちょっと意外です。

 スラム街の家は、たいていがトタン屋根なんです。東南アジアやアフリカだと、集中豪雨のようなスコールが降りますから、トタン屋根に当たる雨音で、他の音がかき消されてしまう。何かあって助けを呼んでも、誰も気づかない。だから、雨の日は危険なんです。

――スラム街は都市の一部と言われました。すると裏社会も都市の一部というとらえ方ですか。

 僕は、表社会も裏社会になりえるし、その逆もありえると考えています。たとえば、暴力団の事務所が入ったビルがあるとしますね。僕が関心を持つのは、暴力団事務所がそこにあるという事象ではなく、なぜそのビルオーナーが部屋を貸したのかということです。

丸山さんが取材で訪れたフィリピン・セブ島にあるトンド地区。低所得者層が住み、スラム街が点在する
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