第4回 その国のリアルな姿を追い求めて

――では、丸山さんがスラム街に魅かれる理由とは?

 僕がスラムに感じる魅力は、非現実的な絵力があることです。とくに大都市の中にあるスラムは、局所的な別世界です。その都市の他の部分とのギャップがおもしろいんです。

 スラムというと、仕事に就けない浮浪者が集まって暮らしているところというイメージを持たれているかもしれませんが、貧しいながらも皆、仕事をしてふつうに暮らしています。それに、お金を貯めるためだったり、子供を大学に通わせるためにあえてスラムに住む家族がいたりするんです。スラム街も都市の一部であって、その生活を見ていくと、彼らが我々と遠くかけ離れた世界の人間でないことがわかりますよ。

 特に生活のための様々な工夫などは、どんな環境にいても人間は良い生活をしようとする生き物なのだと考えさせられますね。印象的だったのはフィリピンのスラムです。どこの地区に行っても目についたのは、まず住人たちの服が小奇麗だったんです。それは毎日洗濯した服を着ているから。でも洗濯機なんてない。それで毎日洗濯するのは大変じゃないかなと思ったのですが、大半の家では手洗いしたあとは脱水なしで干す。それも日中の一番日差しの強い時間帯を利用するので、家の周囲は打ち水がわりになって少し温度が下がるような気がするんです。ほかにもヤギや鶏などに生ゴミを食べさせて家畜として育て、最後は食べるサイクルがあったりします。

「クレイジージャーニー」で丸山さんが取材をしたアフリカ最大のスラムといわれるケニアのキベラ地区。首都ナイロビからほど近いところにあり、およそ100万人が暮らす
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