第3回 米国のマリファナ合法化は「ビジネスチャンス」

――フアレスのケースでは、市民がカルテルのみかじめ料に苦しめられているという話がありましたが、その点はどうなのですか。

 ミチョアカン州は、それが顕著です。カルテルにとっては、麻薬をつくって売るより、直接お金をとるほうが楽ですからね。取り方もうまいんです。果物の収穫量に対してみかじめ料をかける。売り上げにではなく。だから、額も大きく、各千ドル単位になるようです。

 このみかじめ料の取り立てが行きすぎて、一部の市民がその負担に耐えかねたことが、自警団が生まれた背景のひとつにあります。ただ、みかじめ料は、商売をしている人以外は取られません。その商売も、収益が大きい農業や製造業です。果樹園やリサイクル業、缶詰工場、食肉加工業や水産加工業など。街の小売店や飲食店から取るということはありません。

――これまでの話だと、自警団対麻薬カルテルだったのが、今は自警団の影に隠れたカルテル間抗争もあるわけですね。自警団はどうなっていくのでしょう。

 状況はさらに複雑ですよ。ここへ来て、警察が自警団を取り締まり始めたのです。『クレイジージャーニー』の取材で、僕たちが現地にいた日に、それが始まりました。

 そもそも武器を持つ自警団は、法的には違法組織。これまでは、麻薬カルテルと戦っていたので見逃されていたけれど、カルテルが自警団に紛れ込んでいるし、見過ごせないということになったのでしょう。今、警察は自警団を認めない方向に動いています。

 ただ、これも一面的には見られない。もともと地方行政とカルテルは強固に癒着していますから、単純に警察と自警団の対立構図が生まれたとは見られないのです。

ヌエバ・イタリア市の自警団と丸山さん。真ん中の赤い服の男性は自警団のリーダー。彼はリサイクル業を営んでいたが、カルテルに1カ月7万ペソ(日本円で約56万。2014年当時の1ペソ約8円で換算)のみかじめ料を支払っていたという
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