第2回 自警団を隠れ蓑にする麻薬カルテル

ヌエバ・イタリア市の自警団。左の男性は2人のいとこと共にカルテルに拉致され、20日間に渡り拷問を受け続けたという。いとこたちは殺された
ヌエバ・イタリア市の自警団。左の男性は2人のいとこと共にカルテルに拉致され、20日間に渡り拷問を受け続けたという。いとこたちは殺された
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――問題はそこからですね。

 ええ、ここからがややこしいんです。2014年の段階で、カルテルは一掃されたかに見えたのですが、実は元カルテルのメンバーが自警団に入り込むようになっていました。しかも、各地の自警団のなかで、その勢力を拡大していくのです。

 表向き自警団は対カルテルですから、警察は手出しをしません。つまり、自警団はカルテルの格好の隠れ蓑になるわけです。しかも、自警団の一部は、政府に取り入って正式に民間軍に採用されてしまいます。

 一方では、それとは別に、俺たちは俺たちで街を守るというグループも出てくる。自警団というくくりのなかで、いろいろなグループが乱立し、その中の誰がカルテルと関係しているのか、わからなくなっている。つまり、カルテルが地下に潜った状態です。

 事前の情報で、僕は大方そういう状況だろうと踏んで、それを確かめに行こうというスタンスだったのですが、行ってみると想像以上に事態は複雑化していました。

――すると、カルテルが自警団を名乗って武装している集団もあるのですか。

 それもありますね。とにかく多様です。僕が現地で会った人間には、カルテルのメンバーとして麻薬ビジネスをする人もいたし、元カルテルのメンバーで自警団を名乗る人もいれば、警察と癒着して麻薬ビジネスをしている人もいました。