第2回 自警団を隠れ蓑にする麻薬カルテル

――少し話を戻しますが、『クレイジージャーニー』でメキシコ取材を行っていますが、どのようにして実現したものなのでしょうか?

 気になってはいたものの、どうしたものかと思っていたところに、折りよく日本の映画配給会社からミチョアカン州を舞台に麻薬カルテルに立ち向かう自警団に密着したドキュメンタリー映画『カルテル・ランド』のコメント依頼が来たんです。僕は、「コメント原稿を書くから映画のスタッフを紹介してほしい」と担当者に頼みました。

 海外の裏社会取材では、FacebookなどのSNSでそれらしき人とコンタクトして、そこから人づてで取材対象を探していくことが多いのですが、このときはトントン拍子。映画の現地スタッフを紹介してもらうことができました。それで、現地取材が可能になったんです。

――丸山さんが見たミチョアカン州の状況はどうなっているのですか。

 まず、事前の取材で集めた情報からお話ししましょう。麻薬カルテルの勢力争いが激化していくなかで、州内の各地で一部の市民が立ち上がり、自警団ができた。これは『カルテル・ランド』に描かれていた通りです。僕の印象では、その先駆けとなった医師、ホセ・マヌエル・ミレレスという人のカリスマ性があって、自警団ができていったという感じです。それが2013年のことです。

 各地の自警団は武器を持ってカルテルと対抗し、一時はカルテルを一掃したかに見えました。ところが、リーダーのミレレスが飛行機事故による怪我と病気で自警団を離脱すると、自警団の求心力が失われ、空中分解していきます。再び、ミレレスが自警団に復帰しようとするころには、彼の居場所はなく、自警団を合法化するという政府の方針に従わなかったために、武器の違法所持で逮捕されてしまいます。それが2014年6月で、映画はここで終わっています。

ミチョアカン州ヌエバ・イタリア市での取材の様子。丸山さんは自警団のパトロールに同行。メンバーは武装した市民
ミチョアカン州ヌエバ・イタリア市での取材の様子。丸山さんは自警団のパトロールに同行。メンバーは武装した市民
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