第3回 秘密を死守した館員たちの使命とは

 そこで、その誤った非難を打ち消すために、各国の外交官だけを対象に、隠した文化財の一部を1日だけ公開したのです。

 先にも述べたように、その後のタリバン政権下で、アフガニスタンの文化財は甚大な損害をこうむりました。それは本当に残念でなりません。

 しかし、博物館の再開も含め、自分が生きている間に、館長としてあの「バクトリアの至宝」を世に公開できたことを幸いに思います。

――最後に、博物館の再開とナショナル ジオグラフィック協会のかかわりについてうかがいましょう。

(つづく)

キュベーレ女神円盤 。前3世紀 / アイ・ハヌム出土 / 銀・鍍金 / アフガニスタン国立博物館蔵 ©NMA / Thierry Ollivier
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特別展 黄金のアフガニスタン
-守りぬかれたシルクロードの秘宝-

http://www.gold-afghan.jp/

■会期:2016年4月12日(火)~6月19日(日)
■開館時間:午前9時30分~午後5時(土・日・祝休日は午後6時まで、金曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
■休館日:月曜日 ※ただし、5月2日は開館
■会場:東京国立博物館 表慶館(上野公園) 
http://www.tnm.jp/

オマラ・ハーン・マスーディ

1948年アフガニスタンに生まれる。アフガニスタン紛争が始まった1979年よりアフガニスタン国立博物館に勤務。紛争中は、同博物館の収蔵品を秘密裏に移送し保管するなど、アフガニスタン紛争下での文化財保護に主導的な役割を果たした。2001年から2015年まで同博物館館長を務め、収蔵品の略奪や博物館建屋の破壊等、紛争中に甚大な被害を受けた同博物館の復興に尽力した。アフガニスタンの文化財保護に尽力したこれらの功績は国際的にも高く評価されており、2004年プリンス・クラウス賞(オランダ)、2013年ニューヨーク大学名誉博士号(アメリカ)、2014年「アジアのノーベル賞」と称されている第56回ラモン・マグサイサイ賞(フィリピン)を受賞。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。