――「バクトリア」とはどのような意味ですか?

 バクトリアは、現在のアフガニスタン北部からタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン東北部を含む地域の古い名称です。

 この地名が登場するのは紀元前6世紀ごろで、そのころまでにバクトリアは、ヨーロッパと東アジアを結ぶシルクロードの有力な交易拠点になっていたと考えられています。

 また、バクトリアは、この地域の産物の分布から中東やインドともつながっていたようです。先史時代から多くの人種、民族が行き来した地域だと思われます。

――今回の展示品でも、最も古いものは紀元前2100年まで遡りますからね。

 アフガニスタン北東部の遺跡、テぺ・フロールで出土した金の杯が、その時代のものです。しかし、交易の歴史は、さらに遡ることができます。

 そのころの主要な交易品に、ラピスラズリがあります。ラピスラズリは宝飾品や青色顔料の原料として珍重された鉱石で、テペ・フロールの東、バタフシャンが古代の一大産地です。

 ラピスラズリの輸出が最も盛んだったのは、紀元前3000年から紀元前2000年ころなのですが、紀元前4000年ごろには輸出が始まっていたと思います。インドやエーゲ海の沿岸地域にラピスラズリがもたらされていますから、テペ・フロールはインダス文明とメソポタミア文明を結ぶ交易点であったと考えられています。

幾何学文脚付杯。前2100年~前2000年頃 / テペ・フロール出土 / 金。アフガニスタン国立博物館蔵 ©NMA / Thierry Ollivier
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ドラゴン人物文ペンダント。1世紀 / ティリヤ・テペ出土 / 金・トルコ石・ラピスラズリ・ガーネット・カーネリアン・真珠。アフガニスタン国立博物館蔵 ©NMA / Thierry Ollivier
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