「大学院時代は植田信太郎先生のご指導で免疫関係の遺伝子の進化の研究をしていました。ヒトとチンパンジーやゴリラの塩基配列の違いを調べてました。学位を取って博士研究員(ポスドク)先を探しているときに、アメリカのシラキュース大学(当時)で、魚のオプシンの研究をやっていた横山竦三(しょうぞう)先生がポスドクを探しているのを知ったんです。それに応募して、そこからですね、オプシンを自分の研究対象としたのは。でも、ポスドクでやっていたのは、アメリカン・カメレオン、一般にグリーンアノールといわれていますけど、その全オプシン遺伝子を決定して、次にハトでした」

 なんと、河村さんは、ポスドク時代に爬虫類と鳥類のオプシンを調べて、色覚については、やはり「魚類から霊長類まで」脊椎動物を俯瞰する足がかりをすでに作っていたわけだ。その後、古巣の東京大学に復帰して、その時点では、魚類(ゼブラフィッシュ)と新世界ザルという二本柱をすでに決めていたという。ポスドク時代に、オプシンの研究を深めたことで、昔から抱いていた「遺伝子で進化の研究を」という目標への具体的な切り込み方を決めることができた。

 前に紹介したゼブラフィッシュやメダカの研究も、その成果のひとつだ。

 一方、新世界ザルの方は? ゼブラフィッシュのように研究室で手軽に飼うわけにもいかないし、行動を見たいならどのみち、野生のフィールドが必要だ。偶然に助けられつつも、コスタリカでオマキザルを研究しているカナダ、カルガリー大学のリンダ・フィディガンさんや、クモザルの研究をしているジョン・ムーア大学(イギリス、リバプール)のフィリッポ・アウレリさんたちのフィールド調査に参加することになった。

河村さんが研究しているクモザル、ホエザル、オマキザルたち。(画像提供:河村正二)
河村さんが研究しているクモザル、ホエザル、オマキザルたち。(画像提供:河村正二)
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