ちなみに、緑オプシンのサブタイプは、棘鰭類(メダカ)と骨鰾類(ゼブラフィッシュ)の系統が分岐した後に、いわゆる遺伝子重複という現象の結果、独立して獲得されたそうだ。オプシン遺伝子の配列をもとに系統樹を書いてみると、それが鮮やかに分かる。

上のほうのグループがメダカで、下がゼブラフィッシュ。緑型オプシンの種類はそれぞれに枝分かれしてから増えたことが分かる。これは遺伝子が部分的に重複する「遺伝子重複」という現象による。(画像提供:河村正二)(Matsumoto, Y., Fukamachi, S., Mitani, H., & Kawamura, S. (2006). Functional characterization of visual opsin repertoire in Medaka (Oryzias latipes). Gene, 371 (2), 268-278.のFig. 5Bを改変)
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 さてさて、では、ゼブラフィッシュもメダカも、これだけたくさんの種類のオプシン遺伝子を持っていて何に使っているのだろうか。いちいち、同時に発現させているのだろうか。あるいは、サケやウナギのように、環境に応じて使うセットを変えているのだろうか。

 河村さんの研究では、少なくともゼブラフィッシュでは、なんと「同時に全部」だ。

「見える波長の異なるいろんな種類のオプシンがあることはさっき言いましたが、ゼブラフィッシュでは、それが実際に発現していて、使われている網膜上の場所も分化しているということが分かったんです。遺伝子にラベルしておいて、どこで発現しているか分かる方法がありまして、それで確認しました」

 これは概念図を見た方がいい。

ゼブラフィッシュの赤型2種類と緑型4種類のオプシンが網膜のどこに出現しているかを示した図。(画像提供:河村正二)(Takechi, M., & Kawamura, S. (2005). Temporal and spatial changes in the expression pattern of multiple red and green subtype opsin genes during zebrafish development. The Journal of Experimental Biology, 208 (Pt 7), 1337-1345のFig. 6, Fig. 7から改変)
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 ゼブラフィッシュには2種類の赤オプシンの遺伝子があるけれど、それが、ちょっと偏った「同心円状」に発現する場所が分かれている。また4種類ある緑オプシンも同様で、これは4つあるのでさらにはっきりとその傾向が分かる。

 これにはどんな含意があるのか、眼球全体を縦に切ったような形で図示すると驚くべきことが明らかになった。

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