崖を2メートル掘り下げ、化石の骨格(白い部分)を掘り出す作業をしている私(左)と、発見者のアロン(右)。カナダ、アルバータ州の恐竜州立公園にて。
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※前回まで:2015年の発掘シーズンをカナダ南部、アルバータ州の恐竜州立公園でスタートさせた小林さん。恐竜の聖地であるこの公園では、至る所から化石が出てきます! 今回も引き続き、カナダからお届けします。

 「ガガガガガガ・・・」
 遠くから機械の音がする。音の方向を見ると、オレンジ色のシートのようなものが見えた。目の前に、今回の発掘を指揮するフィル(カナダ、アルバータ大学のフィリップ・カリー教授)がいたので、近づいていって尋ねてみた。

 「あんなところにテントを立てている人がいるよ。」
 「あ、あれはテントじゃないよ、シートだよ。私の学生が見つけた、ケラトプス科(トリケラトプスなどの角をもつ恐竜のグループ。角竜類とも)の発掘現場だ。削岩機とか燃料とかいろんなものを持っていったから、雨よけのシートだね。あの音は、私の学生が削岩機を使っている音だよ。みんな頑張っているようだ」

 その現場は、私たちが立っているところよりも随分高い位置にある。「高い」というのは、「今、立っているところよりも、標高的に100メートルほどの高低差がある」というのと、「足元の地層よりも時代が新しい」という2つの意味がある。

 「ダイノソーパーク層(アルバータ州に露出する、白亜紀後期約7660万~7480万年前の地層)でも、随分上のほうだ。あんなところからも恐竜が見つかるんだね」と私が感心していると、フィルが汗を拭いながら答える。
 「あの層準(地層)からも恐竜は見つかるんだ。プロサウロロフスというハドロサウルス科の恐竜が多いけどね。でも、今回私たちが見つけたのは、ケラトプス科だと思う。これだけ層準が上のほうからケラトプス科が見つかるのは、まれなんだ。今、発掘している化石が重要な発見なのは、間違いないよ。去年、脚を発掘して、骨格がつながっていることは確認済み。あとはどれだけの骨格が崖に埋まっているかなんだ」

 随分の自信だ。それだけ、この谷からは全身骨格がたくさん見つかっているということなのだろう。

ケラトプス科と思われる恐竜骨格が発見された崖。崖の上で4人が作業しているのが見える。
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