第6回 2015年の調査がスタート! from カナダ

カナダの恐竜州立公園で、今回の調査地を見下ろす私。天気のいい日は、日射しが強い。暑く感じるが、乾燥しているため、風が吹くと気持ちがいい。
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 「ヨシ、来年はカナダに来いよ」
 カナダ、アルバータ大学のフィリップ(フィル)・カリー教授が、コーヒーを片手に声を掛けてきた。2014年、中国河南省での恐竜シンポジウムでのことだ。

 フィルとはここ数年、モンゴルでは共同で調査をしていたが、カナダでは2009年に王立ティレル古生物学博物館(Royal Tyrrell Museum of Paleontology)のサポートで行ったのが最後。それ以来、カナダには縁がなかった。
 「そうだね、時間があればね」

 毎年のモンゴルでの調査の折、カナダにも来るように誘われていた。しかし、私の夏はいつも他の調査で予定が詰まっていて、なかなか参加できないでいた。
 「毎年、6・7月はアラスカ、8・9月はモンゴルだから」
 顔をしかめながら私がそう言うと、フィルが「5月の終わりなら空いてるね」とニコリと笑う。

 それがきっかけで、今年の5月はカナダ南部にある恐竜州立公園(Dinosaur Provincial Park)に行くこととなった。この公園は、恐竜の聖地である。カルガリーの南東約200キロに位置し、レッドディア川沿いに露出するバッドランド(風雨によって侵食され、峡谷状の涸れ谷になった荒地)から、700体ほどの恐竜の骨格が発見された。重要な化石が多産するため、ユネスコの世界遺産にも登録されている。
 ちなみに、現在1000種類を超える恐竜に名前(学名)がつけられているが、その約75パーセントは6つの国から発見されている。米国、中国、モンゴル、アルゼンチン、英国、そしてカナダ。これらは真の「恐竜王国」といえるだろう。

見つけた化石をそのままに!

 恐竜州立公園の北側にあるハッピー・ジャックスは、ハッピー・ジャックという牧場主が100年前に住んでいたキャビンの跡地だ。今回の調査では、その近くにテントを立てることにした。川沿いで緑も多く、キャンプには非常にふさわしいところだ。
 今回の参加メンバーは、フィルが教えるアルバータ大学の大学院生やボランティアを中心にした調査隊で、総数15人ほど。キャンプのサイズとしては大きめである。私たちの胃袋を満たすキッチンテントには、約1週間分の食べ物が保管されている。少し離れたところには、調査道具や標本を一時保管するオフィステントが立っている。今回は、ここで2週間過ごすこととなった。

キャンプに設置した私のテント。川のほとりで、朝は鳥のさえずりで目を覚ます。
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