イッカクを解体する
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 アッパリアスに加えて、ヒゲアザラシやクジラの肉を売ってもらったり、また、6月上旬にイッカクがフィヨルドのなかに迷いこんできて村人総出で仕留めたときにおすそ分けしてもらったりして、ここ1カ月はすっかり干し肉づくりに追われている。全部あわせると10キロは超えていると思うので、とりあえずカナダにデポする分ぐらいは準備できたと思う。

 カナダへのデポ旅行を終えると、今度は4月に橇で向かったイヌアフィシュアクに再びカヤックで向かう。カナダに置く干し肉はもう十分だが、イヌアフィシュアクにデポする分はまだ足りないので、漁網を持っていって向こうでホッキョクイワナを捕るつもりだ。イヌアフィシュアクは昔のイヌイットの夏の猟場で、8月になると脂の乗ったホッキョクイワナが網が沈んでしまうほど大量に川を遡行するらしい。自分で捕った獲物を食糧にすることで、冬の旅の充実感はさらに増すだろう。

イッカクを干す
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角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)

1976年生まれ。2002年~2003年に、長らく謎の川とされてきたツアンポー川の未踏査部5マイルを単独で探検、2009年~10年にも単独で踏査し、その全容を解明した。2015年に、北極の極夜(1日中夜が続く)の中、GPSを使わず六分儀を使った方法で、北極圏を1200~1300キロを単独で踏破する探検に挑む。著書『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』(集英社)で第35回講談社ノンフィクション賞、『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(集英社)で第8回開高健ノンフィクション賞、第42回大宅壮一ノンフィクション賞、『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で第31回新田次郎文学賞など受賞多数。著書はほかに『探検家、36歳の憂鬱』(文藝春秋)など。

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