アッパリアスを捕るためには長さ3メートルほどの大きな捕虫網みたいな道具をつかう。猟場に行くと両側に岩を積みかさねた高さ5、60センチほどの人工的な壁がいたるところにあり、そこに身を隠して近づいてきたところを網ですくい取る。

 しかし実際にやってみると、これが予想以上に難しい。まず、私の場合は道具が悪かった。地元の人は網の部分の輪っかに軽い竹の素材を使っているのだが、これがなかなか手に入らないようで、しょうがないので私は橇の滑走面に使われるのと同じ素材のプラスチックの棒を丸めて網を作った。このプラスチックは竹よりも重くて、鳥が来た瞬間に素早く動かすことができず、どうしても逃げられてしまうのだ。初めて挑戦したときは3時間ぐらい挑戦し13羽しか捕れず、そのあとも10羽、2羽、18羽となかなか数は増えていかない。この程度の数だと干し肉にすると微々たる量しかない。アッパリアスの干し肉は胸肉しか利用しないので、1羽当たり20グラムにしかならないのである。カナダには肉を10キロほどデポする予定なので、これでは本当にスズメの涙である。

 微々たる量しか捕れない私を尻目に村人たちは1回に100羽、200羽を当たり前のように捕る。大島育雄さんなど最高記録は1日で900羽捕ったことがあるらしい。そこまでいくと、ほとんど1分に1羽ぐらいのペースで捕っていると思われ、とても人間業とは思えない。とにかく皆の捕る数は私とは一桁も二桁もちがう。

 それでも5回目から何となくコツが掴めてきた。アッパリアスは人の姿に気づくとすぐに方向を変えて網の射程距離から逃れるので、鳥が飛んでくる方向にしたがってとにかく身体を隠さなければならない。また、自分がわざと移動して岩に停まっている鳥を動かしたり、網を動かしやすい体勢や網の射程距離を身体が覚えて無駄に振り回すことが無くなったりと、そうしたことが重なって突然捕れる数が増えてきた。5回目は38羽、6回目は42羽、そして7回目は65羽、8回目は76羽と、ここ数日は一気に捕れる数が増えて、その日のうちに捌いて櫓に吊るさなければならないので寝る時間がどんどん遅くなってきた。

アッパリアス
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