第8回 つかの間の日本、そしてまた南極へ

アンターセー湖からノボラザレフスカヤ基地のエアベースに戻り、ついに沈まぬ太陽を見た。高い山々に囲まれた地形のアンターセー湖では白夜期間も太陽が山に隠れてしまい、見ることができなかった。
[画像のクリックで拡大表示]

 1カ月半にわたる南極アンターセー湖調査を終えた私は、クリスマス前に日本に帰り、慌ただしい日々を過ごしていた。溜まっていた書類の処理、早稲田大学から国立極地研究所への研究室の引っ越し、次の南極調査へ向けての準備など、とにかく休む時間がない状況だった。

 次の南極への出発は2015年1月6日。私が日本で過ごす時間はたったの2週間しかない。もはや日本と南極のどちらの世界が日常なのか区別がつかない状態になっていた。南極からケープタウンに到着し、飛行機イリューシンから降りた時に吹いていた暖かい風があまりにも非日常的に感じられたことをよく覚えている。

南極からの帰りは晴れ空のもとイリューシンに乗った。人気のない日程だったようで、搭乗者はなんと15人ほど。
[画像のクリックで拡大表示]

 帰国後はバタバタとしてあまり南極の余韻を感じることもなかったのだが、右手親指の付け根に残る後遺症がふとした時にアンターセー湖でのことを思い出させた。あのスノーモービル旅行の後遺症で、筋肉疲労による痛みではなく、恐らく振動が原因で神経にダメージがあったのだろう。普段はなんともないのだが、たまに変な痺れを感じるのと、ある決まった動きをするとそこが痛むのだ。神経なので、治癒するには半年くらいかかると思うよ、と知り合いに言われた。

 次の南極調査の目的地は、南極半島エリアにあるリビングストン島(Livingston Island)のバイヤーズ半島(Byers Peninsula)と呼ばれる場所。南極半島の先にはサウスシェトランド諸島と呼ばれる島々があり、一番大きな島がキングジョージ島、次に大きいのがリビングストン島である。リビングストン島にはスペインの南極基地であるファンカルロスI世基地があって、今回はスペインのバイヤーズ半島キャンプ隊に参加する。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]