第65回 男性にも読んでほしい、女性ならではの睡眠障害

 月経に関連した不調が、主に身体症状である場合は月経前症候群、精神症状である場合は月経前気分不快障害と病名が使い分けられる。いずれの場合も睡眠症状は大部分の女性で共通して現れる。また、月経前の1週間ほどきわめて強い眠気が持続するタイプの女性もおり、月経関連過眠症と呼ばれる。

 一般的に妊娠中には眠気が強くなる。これは妊娠中にプロゲステロンやエストロゲンなどの女性ホルモン、乳汁(母乳)分泌を促進するホルモンであるプロラクチンが大量に分泌されることによる。これらのホルモンの睡眠に対する作用は完全には明らかにされていないのだが、高濃度になると深睡眠(徐波睡眠)を増やし、レム睡眠を抑え、日中の眠気を強くすると考えられている。

 ホルモンの変動だけではなく、妊娠中には体重増加やむくみによるイビキや睡眠時無呼吸、夜間頻尿、睡眠中のこむら返り、妊娠に伴うレストレスレッグス症候群、胎児による腹部圧迫など睡眠の質を低下させる原因がたくさんあり、眠気を悪化させている。妊婦さんはとにかく大変なのである。

 さらに待ちに待った出産後にも試練が待ち構えている。出産後の1、2カ月は医学的には産褥期と呼ばれる。この時期は我が子を授かって嬉しいはずにもかかわらず女性のメンタルヘルスや睡眠が不安定になることが少なくない。例えば、出産後に情緒不安定や不眠が出現するマタニティーブルーはよく知られている。とりわけ出産後に不眠が続くとその後により重度な産褥期うつ病が出現しやすいことも分かっている。

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