第84回 あなたの風邪は寝不足から? 睡眠と免疫力の深い関係

 風邪に罹りやすくなった原因が睡眠不足や睡眠リズムの乱れであると疑うのには根拠がある。慢性的な睡眠不足や不眠、睡眠リズム障害の患者で免疫力が低下することが、さまざまな研究で明らかにされているからだ。

 例えば、不眠症やうつ病の患者などを対象にした研究では、精神的ストレスの影響とは別に、睡眠時間の短さや深い睡眠の減少と免疫機能の低下との間に関連が見いだされている。

 免疫機能は大きく「細胞性免疫」と「液性免疫」に分けられるが、睡眠に問題があるとその両者がさまざまな影響を受ける。

 細胞性免疫とは、体内に侵入した細菌を攻撃したり、異物を感知して取り込んだりする機能(貪食(どんしょく)機能と呼ぶ)を持つ免疫細胞による防御機構のことで、慢性的な睡眠不足や不眠症によってその働きが低下することが明らかになっている。例えば、慢性不眠症や不眠が多いうつ病患者では、真っ先に現場に駆けつけ対応するナチュラルキラー(NK)細胞の貪食機能が低下する。

 また、睡眠不足は液性免疫機能も低下させる。液性免疫とは抗体や補体などによる防御機構のことである。抗体や補体とは免疫細胞が産生するタンパク質で、主に血液やリンパ液などに含まれるため液性免疫と呼ばれる。抗体は細菌に結合して細胞性免疫を促したり、ウイルスや異物に結合して感染力や毒性を失わせる作用を持ち、補体は抗体の機能を増強する。

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