第98回 40代までに始めたい睡眠による認知症予防

(イラスト:三島由美子)
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 このコラムを読んだり、私の講演を聴いて「これからは睡眠を大事にしたいと思います」「快眠のためにも運動や食事など生活習慣を見直すことにしました」など嬉しいコメントをいただくことも多い。

 睡眠に関する講演会にはさまざまな年齢層の聴衆がおいでになるが、熱心なのは60代以降のいわゆるリタイア世代である。歳とともに睡眠時間が短くなるほか、途中で目が覚める中途覚醒や朝早く目が覚めて二度寝ができない早朝覚醒などの不眠症状に悩んでいる人が多いからだろう。

 睡眠の質の向上のために生活習慣の改善を行ういわゆる「快眠法」は、即効性は乏しいものの、根気強く続けることで一定の効果が得られる。適度な運動や規則正しい食生活、ストレス発散やリラクゼーション、寝室の温度や照明を調整する、夕方以降のカフェイン摂取を控えるなど、すべて自宅で手軽にできるのも嬉しい。

 睡眠問題と健康の関係についてもよく質問を受ける。リタイア世代にとって糖尿病や高血圧と並んでとりわけ関心が高いのは「睡眠と認知症」の関係である。このコラムでも何度か取り上げたように、睡眠不足や不眠は代表的な認知症であるアルツハイマー病の罹患リスクを高めるという調査結果が繰り返し報告されている。

 質のよい睡眠をとり、睡眠不足を解消することは生活習慣病やうつ病の治療や予防にも役立つことが実証されている。そのため、「思い立ったが吉日ですね、頑張ってください!」とエールを送るのだが、こと認知症予防の観点では、リタイア後からの取り組みでは残念ながら「後の祭り」である可能性が高い。

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