第129回 睡眠を妨げる夜の頻尿、悪循環しがちな理由と対処法

 さて、夜間の頻尿に対して何か家庭でもできる対策はないだろうか。日本排尿機能学会と日本泌尿器科学会が作成した「夜間頻尿診療ガイドライン」では夜間頻尿に対してまず行うべき対策として“行動療法”を推奨している。そのうちの幾つかをご紹介しよう。

1. 夜中に水分を取り過ぎないこと。とはいえ、脱水になると脳梗塞のリスクが高まるのでほどほどに。ちなみに、「水をたくさん飲めば “血液さらさら効果”で脳梗塞や狭心症を予防できる」というのは俗説で科学的根拠はない。

2. アルコール、カフェインは尿量を増やすのでできるだけ避ける。

3. 減塩も効果がある。塩分を取り過ぎるとふくらはぎに水が溜まりやすくなり、夜間にその水が血液中に戻って尿になってしまうからだ。厚生労働省の推奨する1 日塩分摂取量の上限(男性8g、女性7g)を超えている人が減塩した結果、夜間排尿の回数、尿量が減ったという報告がある。

4. 夕方あるいは夜間に散歩やダンベル運動、スクワットをする。運動することでふくらはぎに水分が溜まりにくくなる。睡眠の質も高めたいのであれば夕方の運動がオススメ(第6回「お風呂で快眠できるワケ」)。

5. 巻いたタオルケットなどの上に足をおいて横になり昼寝する。やはりふくらはぎから水を追い出す効果がある。夜中の睡眠の質を下げないように昼寝は30 分以内にしよう。

 そのほかにも、禁煙も効果があるとされる。いずれも自宅で簡単に実行できるものばかり。夜間頻尿でお困りの方は試してみてはどうだろうか。

つづく

おすすめ関連書籍

朝型勤務がダメな理由

あなたの睡眠を改善する最新知識

「ためしてガッテン」などでおなじみ、睡眠研究の第一人者が指南!古い常識やいい加減な情報に振り回されないために知っておくべき情報を睡眠科学、睡眠医学の視点からわかりやすく説明。

定価:1,540円(税込)

おすすめ関連書籍

なぜ眠るのか 現代人のための最新睡眠学入門

脳科学が進歩し睡眠の秘密が明らかになってきた。正しい睡眠を身に付けて、勉強や仕事、運動などで高いパフォーマンスを発揮しよう。

定価:1,540円(税込)

三島和夫

(イラスト:三島由美子)

三島和夫(みしま かずお)

1963年、秋田県生まれ。秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授。医学博士。1987年、秋田大学医学部医学科卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、米国スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事など各種学会の理事や評議員のほか、睡眠障害に関する厚生労働省研究班の主任研究員などを務めている。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(川端裕人氏と共著、集英社文庫)、『睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン』(編著、じほう)などの著書がある。近著は『朝型勤務がダメな理由』。